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CASE:02
奥野製薬工業株式会社様
奥野製薬工業は創業明治38年。創業120年の歴史の中で当時のトレンドを吸収し、研究開発に軸足をおいて、製造、販売を展開している企業です。同社の営業現場では、常に顧客と直接向き合う営業活動を重視してきました。しかし従来は、紙やExcel、Wordなどさまざまな形式で報告が行われていたため、部署間や拠点間での情報共有が断片化し、迅速なフォローアップや受注機会を的確に把握することが困難という課題がありました。
こうした背景のもと、同社はCRMとしてSalesforceを導入すると同時に、Salesforceと連携する日報管理システム「kyoumo」の採用を決定。その結果、ひとりあたり月20時間相当の作業時間削減をはじめとした成果を創出し、営業活動を大きく前進させることに成功しています。
Salesforceとkyoumoの活用でひとりあたり月20時間相当の削減
~活動予定と日報のシームレスな連動で実現する営業DX~
会社名:奥野製薬工業株式会社
業種:製造業
事業内容:表面処理薬品、無機材料、食品品質改良剤の製造販売
従業員数:471名(令和6年4月現在)
取材対象:
- 楠 正澄さま(新事業推進部 執行役員)
- 髙橋 順一さま(表面処理営業部 大阪表面処理営業課 課長)
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奥野製薬工業髙橋様(右)と、弊社福谷(左)
課題
活動報告に多くの工数がかかる
導入後
ひとりあたり月20時間相当の工数削減
週報・月報ではタイムラグが発生し、状況把握が遅れてしまう
リアルタイムかつスムーズな情報共有
フォーマットがバラバラで情報が分断され、連携が滞りがち
活動履歴を活用し、迅速で的確な顧客対応
奥野製薬工業が抱えていた課題
奥野製薬工業の営業担当者は、ひとりあたり150社もの顧客を担当し、日々の訪問やアフターサポートなど非常に幅広い業務を行っています。しかし、従来の報告体制には以下のような問題点がありました。
課題01
活動報告の工数
訪問先でメモを取り、週に一度まとめてExcelやWordで週報を作成。報告の際には帰社しており、記憶やメモを辿って報告書を作成しており、報告書の作成工数がかかるほか、移動時間も余計に発生していました。
週報・月報によるタイムラグ
週単位や月単位で報告する形式だったため、マネージャーが現場で起きている最新の状況をすぐに把握できず、迅速なフォローアップが困難でした。
課題02
課題03
フォーマットのばらつきと情報の分断
部署によってExcelやWord、手書きメモ、口頭報告など報告手段がまちまちで、履歴を後から確認・分析しづらく、部門間での連携も滞りがちでした。

「従来は、日々の現場で起きる問題や課題をマネージャーがリアルタイムに把握できなかったために、受注の機会ロスや、クレームに発展しかねない事態もあったと思います。さらに、大阪や東京など各拠点間の情報共有がスムーズにいかず、もどかしい場面も多々ありました」と髙橋様は振り返ります。
NEXT・・・
Salesforceと日報管理システム「kyoumo」を選定
これらの課題を解決するため、同社はまず「顧客管理のデジタル化」を優先事項とし、Salesforce導入を検討しました。同時に、日々の営業活動をよりスピーディかつ効率的に報告できる仕組みを模索するなかで、以下の3つの要件を重要視しました。
要件01
活動予定と日報のシームレス連動
事前に登録した訪問予定をもとに、訪問後はその情報へ簡単に報告を追記できる仕組みを整備し、日報作成をスムーズにおこなえること。
リアルタイムな案件フォローができる
マネージャーが最新の状況をリアルタイムに確認・把握できることで、必要に応じてすぐにメンバーをサポートし、次の施策を迅速に検討できること。
要件02
要件03
モバイルファーストで現場が使いやすい
パソコンに限定せず、スマートフォンから素早く入力できる利便性を重視することで、移動中や現場でも簡単に利用できること。
これらを踏まえた結果、CRMとしてSalesforceの導入を決定し、さらにセールスフォース・ジャパン社から紹介された日報管理システム「kyoumo」を同時に採用することになりました。「kyoumo」が数ある選択肢の中でも特に評価されたのは、前述の要件をすべて満たした点です。さらにセールスフォース・ジャパン社から「実績の高い有力サービス」として推奨されていたことも後押しとなりました。
<kyoumoの画面イメージ>


導入プロジェクト
プロジェクトはまず大阪拠点の営業部門を中心にスタートし、東京や名古屋など他拠点にも順次拡大していきました。楠様が旗振り役となり、各部門から若手メンバーを選抜したプロジェクトチームを結成。これにより、約100名を超える営業担当者へ一気に展開することに成功しました。
現場への定着において鍵を握ったのは、営業部門のマネージャー層の後押しです。営業部課長の髙橋様は「最初は操作に戸惑うメンバーもいましたが、ダッシュボードで全体像が見えるようになると、週報や月報を紙ベースで何時間もかけて作る必要がなくなり、その利便性を実感するメンバーが増えました」と語ります。営業部門が利便性を実感できたことで、活用のスピードアップに繋がりました。
また楠様は「Salesforce本体の導入には習熟などに多少の苦労を要しましたが、『kyoumo』は設定さえ終わればすぐに使え、実際に難しいことはほとんどありませんでした」と
振り返ります。

導入効果
奥野製薬工業では、Salesforceおよび「kyoumo」の活用を通じて、次のような効果を発揮しています。
効果01
工数削減:ひとりあたり月20時間相当
最も大きな効果は、従来の紙ベースやExcel・Wordでの報告書作成から解放されたことにより、各担当者の作業負荷が劇的に軽減された点です。移動の合間などにスマートフォンから日報を入力できるため、週報や月報をまとめる時間が削減され、担当者ひとりあたり週5時間・月20時間もの工数が浮いたという声もあがっています。
組織的な営業プライオリティの管理
営業担当者が「kyoumo」を通じてSalesforceに訪問予定を入力することで、社内共有がスムーズに進むようになりました。また「最近訪問していないリスト」などの参照が容易になり、戦略的な営業活動が組み立てやすくなっています。マネージャーもリアルタイムにメンバーの活動予定を把握できるため、組織全体として優先度を調整しやすくなりました。
「記憶が新しいうちに日報を入力するため、顧客対応のちょっとした反応や機微も正確に残せるのが大きいですね。そこから考えられるネクストアクションや改善策を、すぐに検討できるようになりました」と髙橋様は話します。
効果02
効果03
活動履歴の活用と、多拠点での顧客対応
訪問直後に日報を入力するため、細かな顧客の反応やトラブルなども正確に記録され、Salesforce上に履歴として蓄積されます。そのため過去の商談や対応履歴を振り返りやすくなり、新たに担当が変わっても情報を引き継ぎやすくなりました。
また、東京と大阪など拠点が異なる担当者同士でも、電話やメールで細かく確認しなくても「kyoumo」の日報を閲覧すれば最新情報を即座に共有できます。従来発生していたコミュニケーションの重複やタイムラグがなくなり、顧客への対応がより迅速かつ的確になりました。
そのほか、今なおExcelファイルで3時間程度かけている販売会議のための資料作成の自動化をすすめています。「販売会議資料作成の自動化を実現するうえでは、必要なデータがSalesforceに入力されていることがもっとも重要です。それが「kyoumo」の運用によって適切にデータ蓄積できており、大変助かりました」と高橋様はコメントしています。
今後の展望
奥野製薬工業では、2030年を視野に入れた長期的な成長戦略を策定しており、国内のみならず海外拠点の事業拡大も重要なテーマになっています。 国内においては全社的なSalesforceとkyoumoの展開によって営業活動を効率化できていますが、海外拠点においても同様のシステム展開を行なっていくことを考えています。それにより、海外における商談管理やトラブル対応にも適切かつスピーディな対応が可能になり、さらなる事業成長に貢献することが期待されています。
日報管理システム「kyoumo」はこんな会社におすすめ
楠様: 「たとえば、急激に顧客数が増えている企業や、複数拠点を持つ組織には特に向いていると思います。Salesforceの導入に加えて、日報管理がスムーズになることで、リアルタイムに最新情報を共有・分析しやすくなるんです。結果的に、見込み客のフォローアップや顧客満足度の向上につなげやすいですね」


髙橋様: 「ExcelやWordなどでの週報や月報の作成や共有に苦労している企業には、ぜひ導入を検討してほしいです。弊社も当初は抵抗がありましたが、使い始めてみると煩雑だった報告作業がかなり楽になりました。また、導入プロジェクトの推進はデジタルに抵抗のない若手が活躍できる機会としても最適です。弊社のプロジェクトも若手メンバーが中心に推進役として大きく活躍してくれました」