Dreamforce 2026徹底解説|AIforce・Koa・7つのAIエージェントから見るSalesforceの最新動向

こんにちは。ネクスト・アイの錦です。
今回は、2026年9月15日~17日に米国・サンフランシスコで開催されたSalesforceの年次カンファレンス「Dreamforce 2026」について解説します。
本記事では、今回の Dreamforce で発表された AIforce, Salesforce 独自のAIモデル「Koa」, 7つの業務特化エージェント, Enterprise AI Harness, 主要パートナーとの連携など、注目された発表を中心にご紹介します。
Dreamforce 2026の概要

Dreamforce とは、Salesforce が毎年開催している世界最大級のソフトウェアカンファレンスです。Salesforce の製品やサービスに関する最新情報が発表されるほか、AIやクラウドなど、企業のIT活用に関するさまざまなセッションが行われました。
2026年のテーマは、「Becoming an Agentic Enterprise(エージェント型企業へ)」
今回の Dreamforce では、AIエージェントを中心に、Salesforce のデータや業務プロセスをAIから利用するための新機能や、AIモデル, セキュリティ, 外部企業との連携など、幅広い発表が行われました。
注目すべき3つの変化
・インターフェース:Salesforce を「どこで使うか」の変化
・AIモデル:Salesforce 独自のAIモデル「Koa」を含め、AIエージェントを支える基盤を強化
・パートナー連携:Google, AWS, Anthropic, NVIDIAなど、AI・クラウド業界の主要企業との連携を強化
基調講演には、Anthropic の Dario Amodei 氏や NVIDIA の Jensen Huang 氏も登壇し、AI・クラウド業界を代表する企業のリーダーが参加しました。
目玉発表「AIforce」――SalesforceがAIツールの中に入ってくる

今回の大きな発表の一つが「AIforce」です。
Salesforce のデータ, ワークフロー, 権限などを、Claude や Slack といったユーザーが普段利用するインターフェースから扱えるようにする仕組みです。Salesforce は、AIforce を「 Salesforce のプラットフォームの力をあらゆるインターフェースに届ける」ものとして説明していました。
これまでの Salesforce では、ユーザーが Salesforce の画面を開いて作業することが基本でしたが、AIforce では、Salesforce の機能を外部の AI や業務ツールから利用できるようになります。
Salesforce のデータやワークフローを、ユーザーが普段使っているインターフェースから利用できるようになることで Salesforce 自体を操作することがなくなりそうですね。
AIforce で提供される3つの利用方法
・Claudeforce(Salesforce in Claude) Anthropic の Claude から Salesforce の機能を利用できる仕組みです。Salesforce in Claude には、営業活動向けの37個のプリビルトスキルが用意されています。今後は Tableau を使った分析に加え、サービス, マーケティング, コマース, 各業界向けのスキルも追加される予定です。
・Slackforce
Slack から Salesforce のデータや機能を利用できる仕組みです。Salesforce のデータをもとに、Slack 上で情報を取得したり、業務を進めたりすることができます。
・Agentforce Coworker
Salesforce の Lightning Interface 内で動作する AI の同僚です。顧客情報や活動履歴などを分析し、情報の提示やアクションの実行を行うことができる。 また、組織が Agentforce で作成した専門エージェントを呼び出して利用することもできます。
自社モデル「Koa」と7つの業務特化エージェント

もう一つの大きな発表が、 Salesforce 初のCRM推論モデル「Koa」です。
Koa は、NVIDIA の「Nemotron 3 Super」をベースに、Salesforce が約30年にわたって蓄積してきた CRM の業務知識をモデル化した合成データセットを使ってポストトレーニングした推論モデルです。
商談の更新、ケースのルーティング, フォローアップのスケジューリングなど、CRM における複雑な業務を推論し、適切なツールを使って実行することを目的としています。
Koa の学習には顧客の実データは使用されていません。Salesforce はモデルの重みを管理し、ポストトレーニングと推論を自社の trust boundary 内で行うと説明しています。現在は一部の顧客向けにPilot提供されており、一般提供は2026年冬に米国地域から開始される予定です。
また、Agentforce では Koa だけでなく、Google Gemini や AWS がホストするモデルなど、複数のモデルを選択できる環境も整備されています。用途に応じて利用するモデルを選択できることが、今回のモデル戦略の特徴の一つです。
さらに、Salesforce は業務ごとにすぐ利用できる「Job-Ready Agents」を発表しました。今回発表された7つのエージェントは、それぞれ異なる業務を担当します。
発表された7つのエージェント
・Casey(ヘルプエージェント)
音声, SMS, WhatsApp, Webチャットなどを通じて、問い合わせ, FAQ, 返品, アカウント管理などのカスタマーサービス業務に対応します。
・Paige(IT・人事向け従業員サービスエージェント)
Slack やポータルなど、従業員が普段利用しているツールを通じて、IT や人事に関するリクエストを解決します。
・Carter(ショッパーエージェント)
商品の発見や比較、疑問への回答から、チャット上での購入までを支援します。
・Marshall(営業エージェント)
顧客のリサーチからアプローチまで、営業パイプラインに関する業務を担当します。数週間から数か月にわたって営業担当者と連携することも想定されています。
・Piper(サプライチェーンエージェント)
サプライチェーンやバックオフィスにおけるエンドツーエンドのプロセスを管理し、手作業の自動化や各アクションの監査記録を行います。
・Fin(インバウンドパイプライン創出エージェント)
Web サイトや受信ボックスを横断して見込み顧客を発掘・選別し、B2B営業・マーケティングチームのパイプラインにつなげます。
・Hunter(カスタマーエージェント)
複雑な顧客体験のワークフローを、さまざまなチャネルにわたって処理します。「Operator」と「Fin Apex」を搭載し、カスタマーサービス業務への導入と継続的な最適化を支援します。
これらのエージェントによって、Agentforce は単に質問に回答するだけではなく、営業, カスタマーサービス, IT, 人事, サプライチェーンなど、それぞれの業務に合わせて実際の仕事を担当する方向へ広がっています。
さらに、Salesforce は数日から数週間にわたって目標を追い続ける「Long-Horizon Agents」も発表しました。エージェントが複数のタスクからなる計画を作成し、実行中に新しい情報が入れば計画を調整する仕組みです。
AIエージェントの役割が、1回の質問や単発の作業への対応から、継続的な業務を担当するところまで広がっていることが、今回の発表から見える大きな変化の一つです。
ガバナンス・パートナー連携と今後の方向性

AIエージェントを企業の業務で利用するには、AI がどのデータにアクセスでき、どの操作を実行できるのかを管理する仕組みが必要になります。
今回 Salesforce は、こうした AI の利用を支える基盤として「Enterprise AI Harness」を発表しました。
そこで Salesforce が発表したのが、「Enterprise AI Harness」です。企業が AI や AIエージェントを安全かつ信頼性高く運用するための実行基盤で、企業の AI 活用に必要な機能をまとめて提供します。
Enterprise AI Harness は、次の6つの機能構成
・Context(コンテキスト)
企業固有のデータやメタデータ、業務ロジックなどを AI に提供します。
・Agency(エージェンシー)
AI が自律的に推論や計画を行うための機能です。
・Action(アクション)
承認されたビジネスプロセスやワークフローを AI が実行できるようにします。
・Governance(ガバナンス)
企業のルールやポリシーに沿って AI を管理します。
・Security(セキュリティ)
アクセス権限や企業データを保護します。
・Model(モデル)
Salesforce 独自のモデルだけでなく、サードパーティ製を含む複数のAIモデルを利用できるようにします。
セキュリティ面でも、AIエージェントや外部ツールとの接続を意識した機能が追加されています。
追加された機能
・Salesforce Guardian
Salesforce のデータセキュリティ、プライバシー、レジリエンスをまとめて扱うセキュリティの枠組みです。
・MCP Risk Scores
外部の MCP サーバーを登録する際にスキャンを行い、リスクを評価する仕組みです。Tool Poisoning など、MCP サーバーに関連するリスクを確認できます。
パートナー連携では、Google Cloudとの連携が発表されました。
Salesforce の Hyperforce を Google Cloud 上で利用できるようにするほか、Salesforce と Google Cloud のAIエージェントが、それぞれのプラットフォームにあるデータを利用して連携できる環境が発表されています。
AWS との連携では、AWS のAIエージェントを Slack から利用できる機能が紹介されました。
まず AWS DevOps Agent に対応し、今後、AWS Security Agent、AWS FinOps Agent, AWS Partner Central Agent にも対応する予定です。
また、Amazon Bedrock を通じて Agentforce から複数のAIモデルを利用する連携も発表されています。
このようにDreamforce 2026では、AIエージェントそのものだけでなく、企業のデータや業務プロセス, 権限, セキュリティ, AIモデルを組み合わせて利用するための仕組みについても発表が行われました。
一方で、今回発表された機能には、一般提供済みのものだけでなく、Pilot や Beta、今後提供予定のものも含まれています。そのため、Dreamforce 2026では、現在利用できる機能だけでなく、 Salesforce が今後AIエージェントを企業環境へ広げていくための製品・基盤も示された、と整理できます。
まとめ

今回は、「Dreamforce 2026」で発表された AIforce, Koa, 業務特化エージェント, Enterprise AI Harness, そしてパートナー連携についてご紹介しました。
今回の Dreamforce では、AIエージェントそのものだけでなく、 Salesforce の外側からデータや機能を利用する仕組みや、AIモデル, ガバナンス, セキュリティまで幅広い発表が行われました。
特に印象的だったのは、AI が Salesforce の画面の中だけで動くのではなく、Claude やSlack など普段使っているツールから Salesforce のデータや業務を扱えるようにしている点です。Salesforce を「使う場所」そのものが変わっていくように感じました。
また、Koa や7つの業務特化エージェントを見ると、AI に質問するだけではなく、営業, カスタマーサービス, IT, 人事, サプライチェーンなど、具体的な業務そのものを AI に担当させると言ったAI を一従業員として活用していくのが面白いですね。
最後までご愛読いただきありがとうございました。
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